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【情報の森】セミナーレポート

調査研究報告会「売れる特産品はこうして作られる」追加質問 Q&A

調査研究報告会「売れる特産品はこうして作られる」(2016年3月17日開催)第2部のパネルディスカッションでお聞きできなかった質問がいくつかあり、後日パネリストの皆様から回答をいただきましたので、ご紹介します。(順不同)

Q:パッケージデザインコンペの価値は?
本多::コンペ案件は心体共に消耗するのでこの歳になると辛いのですが、価値ですか… どうなんでしょう、デメリットしか思い浮かびません(苦笑)。一律に送られてくる情報だけでは相手の顔と意思が分からないので気持ち悪い=もやもやした気分のまま取り掛かれば仕上がりもモヤモヤ。関わり方のモチベーションが上がらない案件は結果として良い商品にならない事が多いです。個人事務所なので年間受けられる案件の数は限られます。ひとつひとつが真剣勝負なので“数打ちゃ当たる”的な仕事は避けているのが現状です。

Q:昨今、行政が地域振興目的で行うデザインコンペ(例:おいしい東北パッケージデザイン展、北海道のおいしいつながりパッケージデザイン展)は、地域産品の商品化に有効でしょうか?
氏原:生産者にもデザイナーにも刺激と出会いの場であり有効だと思う。
本多::展示物を見て、これやってみたい!とアプローチしてくださった方に対してのフォロー次第でしょうか。自治体という茫漠とした相手にではなく、地元でご商売をされている方が展示を見て何かしら商品化のヒントを感じ取ってくださったのなら意義はあるのでしょう。それ以上に、地域産品の開発案件はデザイナーの意識改革に有効だと思っています。ルーティン的なデザイン思考を考え直すきっかけになれば良し。
東北地方においては生活の基盤が変わってしまいました。かさ上げされ“つくり直されてしまった”居住地区の光景を見て、そこに暮らす人々のために我々パッケージデザイナーは何ができるのか。現状を嘆くだけでは何も進みません。一旦肯定しポジティブに捉え直せば新しい企画、デザインができるのではないか…
美味しいよ、綺麗だよ、かわいいでしょ、という言葉が求心力を失いつつある昨今、現地に足を運んでみれば見えてくる他の訴求素材がいっぱいあるはずです。自治体のコンペをひとつの足がかりに、現地取材から始めるのも良いんじゃないでしょうか。

Q:パッケージデザイナーとは何なのか? 「自分はパッケージデザイナーである」と思っていますか?YES/NO でお答えください。またその理由は?
立花:NO。クライアントの問題点に向き合い、何を整理整頓するのかを考える総合マネジメントのような仕事だと思います。
本多:Yes。でも全てではありません。今は企画からプロモーションまで一貫した動きが多くディレクター? プランナー? 自分でもどのように名乗ったら良いのか…でも柱はパッケージデザインです。お客様に一番近くて売り上げに直接関与するパッケージを軸として考えるからその前後をどう動かせば良いかが分かる。軸がブレれば結果は言わずもがな、でしょう。
氏原:YES。〇〇デザイナーと区分けしない方が自然なのかもしれない。実際は商品を売るため伝えるためのデザイン全体を考えていく作業だから。けれどパッケージデザイナーです、と言った方がわかりやすい事、「包括的に考える」意味で「パッケージデザイン」ってあっている気がします。

Q:地域で活動するのに一番必要なことは何か? これからのデザイナーにアドバイスをいただきたい。
立花:まずデザインが好きであること。商品開発の最後の最後まで愛情が注げるかということ。時間はわりとゆるい。焦らず仕事に取り組みできることが利点。クライアントの成長を共に喜ぶことが出来る。
本多:講演会でのシメの言葉としてたびたび使っている文章を載せておきます。「地域産品開発…このジャンルは決して儲かるハナシでは無い。世間では新たなオアシスが出現したが如くもてはやされているが、地方でデザインを生業としている者にとって状況は今までと何も変わっちゃいない。が、都会に出てきてこの仕事をしているあなたのご実家が農家だったり、何かご商売をされていたり、近所に幼馴染の八百屋さんや魚屋さんがあったり、あなたが通っていたお菓子屋があったとして、その人達が悩みを抱えていたなら、彼らのために何か出来ることはないだろうか。今の会社の枠を離れて、お節介でもいい、あなたの知見経験を活かしてみたいと思うなら、ふるさとへの恩返しとして取り組む価値はある」。

■立花さんへ
Q:1案件にかかる時間はそれぞれ異なるとして、同時期に何件くらい重なるのか?そのときはどのようにかかわっていくのか?
A:多いときは同時進行で8件くらいの仕事をしています。私は仕事は速いほうだと思います。

Q:地方でのデザインは今後盛んになると思われますか?「ふるさと納税」と、地域のデザイナーの仕事は結びついていますか?
A:事業所さんがデザインの必要性を感じはじめていますので、しばらくはデザインの仕事は増えると感じます。ふるさと納税とデザイナーとの結びつきはないと思います。

Q:地域から世界への可能性として、Pentawardsの手応えは?
A:まずクライアントに大変喜ばれました。昨年は授賞式がロンドンという魅力ある都市でしたので、周辺からもわざわざ海外へ授賞式に参加したことを評価されました。徳島新聞にも記事として掲載されましたが、(受賞がきっかけでの)デザイン依頼は今のところはありません。

■本多さんへ
Q:良いデザインを作る上でこれだけは譲れないことは?
A:まず「良いデザイン」とは何かを決めておかねばなりません。これはデザイナー個々の価値観の違いもあると思いますが、私は下世話に「良く売れること」を銘としています。
地域産品の生産者においては、今回世に出すこの一品が生活を賭けたものであることが多く、ダメなら次行ってみよ〜とはならない。次が無かったりするのです。一撃必中、絶対に売れるものを作らなくてはならないのです。その為に色んな判断を任せてもらわなくてはならないのですが、そこは信頼感と言いましょうか、一蓮托生とでも申せましょうか、デザインテクニックではない部分ですので自分の生き様までもが反映されます。譲れないものがあるとすれば、「私が私であるために」という意地でしょうか。

Q:ネットの有効利用の好例があればおきかせください。日本の国産品がアジアで高額で扱われているようですが、デザインで言葉を超える販路はみいだせるでしょうか?
A:「狙っている訳ではありませんが、SNSなどのソーシャルメディアで勝手に拡散されている実感はあります。あるときLVMHグループの広報からメールが届きました。TETTAのワインを送る時に、ぶどうの葉っぱを一枚添えてお届けしていたのですが、どこをどう巡ったのかモエ・エ・ヘネシーの耳に入ったようで、我々のプロモーションに賛辞を送ってくださいました。日本人の細やかな心配りが行き届いた商品は世界に通用するどころかむしろリードしていくものだと確信しています。この時代、ネットを通じ国境を越えて誰かが見ています。良い事も悪い事も本人の意思とは無関係に広がっていくことを肝に据えておくべきだと思います。

Q:苗を植える、ワイン会、収穫などのイベントに、人々を集めるだけでも大変だと思うのですが、どういうツ−ルを使用したのか教えてください。
A:資金が無いに等しい船出でしたので自分達の持っているコネクションをフル活用しました。影響力のありそうな、声のデカそうな、お金を持っていそうな人達にまず飲ませる → 美味しければ拡散してくれる。イベントの告知はFBページ(これもタダ)で。そうやってファンを増やしていきました。善意の方々に支えられて今があると(笑)。あえてツールと言うのなら“人脈”でしょうか。

Q:『売れる』ということ『デザイン』の関係について
A:「売れる」条件のひとつに「デザイン」があると考えています。食品に限って言えば「売れる」ためにはまず美味しいこと。パッケージデザインはファーストトライアルには有効ですが、美味しくなければリピートして頂けません。その他には、セールスプロモーションの問題とか時流(商機)が関係してきます。売れる要因を積み重ねて精度を上げていかねばなりません。売れて当たり前、売れなかったらデザインの所為にされるのは悔しいですね。

■氏原さんへ
Q:パッケージをつくり、その後その販促物(ポスターなど)を作る時、商品の「らしさ」「統一感を出すために、何に気をつけていますか?
A:詳細や多くを語らないパッケージに寄り添って、商品説明や背景を語ってくれる販促物は地方の売り場では店員さん位に大事だと思う。(なかなかわかってもらえないけれど) その商品や売り場にあった販促物をみながら進めていくよう心がけています。

Q:いろんなジャンルのデザインをされている外来していただく方をうまくつなげていうために意識していることは?
A:人通しのつながりでお声をかけてもらう事がほとんどでしたが、声をかけやすい事、一緒に何かつくりたいと思ってもらえる事、重宝がられる事って意外と大切かもしれないと思います。