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ユニバーサルデザインとパッケージ

ユニバーサルデザインと文字のあれこれ


パッケージにおける文字とUDの関係

パッケージの2大機能の一つ、情報伝達。その機能をUD化しようとするときに必須となるのが文字(フォント)の問題ではないでしょうか。
今や時代は変わり、UD視点から開発された多くのフォントが容易に入手できるようになっています。
このコーナーではパッケージにおける文字とUD の関係についてお話します。

*学術的には「文字」と「書体・フォント」は明確に区別されており、全く別の概念です。ですが、ここでは話を簡素化するため敢えて書体≒文字として進めていきます。

 

UDはユーザー視点

パッケージにおける「UD」という観点から話していきます。「UD」ということはメーカーやデザイナーなどの、商品・パッケージを作る側の視点ではなく、その商品やパッケージ・内容物を「使い・消費」する側の視点で捉えていくことが大前提になります。

 

文字に求められる機能

パッケージには多種多様な文字や文章がちりばめられています。それは商品名や商品の特徴を表したり、意匠の一部として購買意欲を喚起するためであり、そして、ある時には重要な情報を正しく伝達するためであったりします。

いずれにせよ、言語(情報)を伝達する機能こそが文字に求められる機能です。(一般的には、記録するという機能もあります。)

ユーザーはパッケージからどのような情報を読み取っているのでしょう。すぐに思い浮かぶものとしては

◆それは何であるか

◆どのような使い方をするのか

◆使用上注意すべきこと

◆問い合わせ先

などでしょうか。それぞれを更にブレークダウンしていけば、原材料、賞味期限、製造者・販売者情報、使用方法、開封の仕方などなど、非常に多くの情報がパッケージ上の文字・文章を通じてユーザーへと伝えられています。

つまり、ユーザーが製品やサービスを使用する際に、欠かすことの出来ない重要な情報がパッケージ上に文字・文章という形で表現されているのです。

だからこそ、UD視点が欠かせないのです。仮に、これらの重要情報が、特定のユーザー層にとってアクセスが困難であったらどうでしょう? そのユーザー層だけが不利益を被る可能性は非常に高まります。こうしたリスクを事前に予測し、デザイン段階で取り除くことこそ「UD」のコンセプトです。

これでみなさんも文字(フォント)におけるUDの必要性についてすっきりしましたか? では引き続き、「UDフォント」について解説していきます。

 

わかりやすい?見やすい?読みやすい?

インターネットで「UD フォント」と検索してみると、たちどころに多くのメーカーのUDフォントにヒットします。いずれのフォントも「わかりやすい」「見やすい」「読みやすい」を訴求しています。では、ここで言う「わかりやすい」「見やすい」「読みやすい」とはどういう意味なのでしょうか?

わかりやすい・見やすい → 視認性

視認性:1つの文字を目で見たときの見やすさのこと。 視認性が高いということは、さまざまな意味で見やすいということになります。視認性を高くするには、「背景色と文字色の組み合わせを考える」、「見やすい大きさの文字を配置する」など。

読みやすい → 可読性

可読性:文章・文字列の読みやすさ。文字単体の話では無く、文章として如何に読みやすいか。

誤読しにくい → 判読性

「わかりやすい」「見やすい」「読みやすい」に続き、もう一つ忘れてはいけない重要な要素があります。それは判読性です。

判読性:類似する文字の判別のし易さ。誤読しにくさ。

アルファベットでは “ a” と “o” と “c”。数字の 3 と 8 と 6 と 9 などが代表的な例です。和文でも濁点、半濁点に絡んで「ば」と「ぱ」なども典型的な事例です。

特にパッケージの場合、情報記載スペースに限りがあるケースが多く、必然的に文字が小さくなる傾向にあります。小さな文字にしても誤読しにくいというのはとても重要です。

 

UDフォントとは

以上の説明にある、視認性 可読性 判別性 の向上を目的に開発されたフォントが「UD フォント」ということになります。

各社ごとに開発のポイント、プライオリティに違いはありますが概ね共通している項目をリストアップしておきます。

◆あきを確保

◆ふところを広く

◆シンプル

◆濁点部分のギャップを工夫

◆点対称文字

 

UDフォントの限界

視認性 可読性 判別性の向上をうたいながら、現実には可読性についての基準ははっきりしていません。
可読性を向上させる手法として、例えば、漢字とかなの大きさのバランス微調整や、字面・フトコロを調整するなどが言われています。しかしながら、可読性の測定においては、読み手のリテラシーと記述内容の関係、組版の違いなどによって結果が大きく変わってしまいます。
また、見慣れた書体、組み方であれば、多少見にくい書体でも可読性は高くなってしまいます。
裏を返せば、フォントの改良で可読性を上げるということは難しく、むしろ組版も含めた総合的な対策が必要なテーマとすべきものではないでしょうか。

まとめ
Ⅰ:パッケージの情報伝達機能面で文字の UD は重要である
Ⅱ:文字のUDを考える際には ①視認性 ②可読性 ③判別性 の3視点が重要
Ⅲ:しかし、文字(フォント)の改良が有効なのは、視認性と判別性の2点である。