理事長挨拶

 私には小さな子供が2人います。先日チュッパチャプスを2人にプレゼントしたら大喜びで、すぐには食べず大事に机にしまっていました。私はこの光景をとても嬉しく思いました。チュッパチャプスのロゴは1904年スペインで生まれたサルバドール・ダリがデザインしました。高価なダリの芸術作品を買うことはできませんが、飴なら買えます。パッケージデザインが与えてくれる日々の豊かさを改めて感じました。
 
 2022年で62周年を迎えた日本パッケージデザイン協会は設立当初より、パッケージデザイナーの知識・経験をその原点とし、会員のコミュニケーションを通じて生活文化を豊かにし、産業の発展に寄与することを目的にしてきました。2018年には経済産業省・特許庁から『「デザイン経営」宣言』が出され、ブランドやイノベーションに貢献するデザインの重要性が謳われました。また2022年には世界を代表するコンサルティング会社マッキンゼーから、「デザイナーが幅広く活躍している企業は成果をあげていることが多い」*というレポートが出されました。今ほどデザインの力が期待されている時代はないのではないかと感じます。そしてパッケージデザインは「イノベーション」、「地域活性化」、「ブランド」、「環境問題」といった社会の大きなキーワードの真ん中にいます。パッケージデザイナーが生みだす創造的なアイデア、理想、空想が現実となり多くの人々の生活に届き、そして社会を大きく変えていくのです。こういった時代において、私たちはいままでも、そしてこれからも協会活動を通じてパッケージデザインの力を社会に伝える活動をしていきたいと思います。
 
 本協会は、様々なセミナーやデザインコンペティション、展覧会、調査研究、国内外の交流、年鑑の発行などを行っています。そしてこれらの活動は700を超える会員のボランティアで行われています。日々、志を持って活動に参加されている会員のみなさまに心より感謝申し上げます。ぜひ当協会のイベントやセミナーにお越しください。当協会の活動は会員であるなしにかかわらず、全ての人に開かれています。この数年はオンラインでの交流が盛んになったことで、場所という概念を超えて多くの人たちの出会いが増えました。本協会がパッケージデザインに関わる多くの人たちの新しい出会いの場になるようにしたい。 そう考えています。



2022年5月
公益社団法人 日本パッケージデザイン協会
理事長 小川 亮

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