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JPDA学生賞2024

韓国研修レポート〈デザイン事務所MAUM〉

2024.10.16 韓国研修レポート

石井友規(香川大学/JPDA学生賞2022金賞・フジシール財団賞受賞)

〈韓国研修の発見〉

●デザイン事務所MAUMへ訪問

研修最終日(10月16日)には、ビジュアルデザインから空間、プロダクトなど、多彩に活躍されている「MAUM STUDIO」を訪問しました。「MAUM」とは韓国語で「心」を意味しますが、その名の通り人とモノや空間とのコミュニケーションを心込めてデザインしている印象を受けました。アイコニックで可愛らしい「ハートタンク」という滑り台は、社長のお子さんが実際に描いた「こんな遊びがしたい」という絵を元に実現されたものだそうです。身近な人の心を汲み取りそれを形にする、デザイナーだからこそできることであり素敵なことだと感じました。

●韓国と日本のギャップ

私は街のデザインや表現方法に、日本と韓国の違いを感じました。韓国は日本よりも平均的に建物が高く、多くの人がアパートに住んでいるそうです。それは地震が少ないことや限られた土地に対して人口が多いことが関係しているそうです。
その国の特性が建物に現れるという点が、とても面白いと感じました。この経験を通じて、他の国々の建物も見てみたいという思いが湧きました。

地下鉄に乗ると、韓国では椅子が硬く、青みがかった色で少し冷たい印象を受けました。日本の地下鉄に感じるような「安心感」とは異なる印象でした。さらに、車内広告はデジタルサイネージが扉上部に設置されており、中吊り広告や壁、窓には広告がありませんでした。しかし、窓や角のデザインが丸みを帯びており、かわいらしい印象も残っています。また、切符がカードタイプで、利用後に返却すると保証金が戻るシステムも日本と異なり驚きました。さらに、カードには電車のマナーがイラストで描かれており、乗るたびにどのマナーが出てくるか楽しみでもありました。

駅内には、個人の空間を作るエリアが設けられていて、興味深かったです。外に出ると、選挙ポスターも印象的でした。韓国では信号柱に大きな旗を飾り、通行人の目に入りやすいデザインになっていましたが、日本では小さなポスターが決まった場所に掲示されるので、大きな違いを感じました。

全体的に、韓国では丸みやイラストを取り入れたデザインが多く、日本は優しい色味が使われつつも、文字やディテールに角ばったデザインが多いと気づきました。このような新鮮で貴重な体験を学生の間にできたことを嬉しく思います。

●韓国のパッケージ(デザイン)について

私が韓国のパッケージで印象に残っているのは、キャラクターのイラストです。日本のパッケージに見られるキャラクターよりも、ポップな雰囲気を感じました。人ではなく動物や食べ物をモチーフにしたキャラクターが多く、
丸みを帯びたシュールで可愛いデザインになっていると思いました。そのようなキャラクターが使われているパッケージは、身近で親しみがあり、若者に人気が出そうだと感じました。
また、ペットボトルの形にも独自性を感じました。上部がすぼまっていたり、真ん中に段差があったりと、個性的な形が多く、触れる楽しさも感じられました。平面だけでなく立体デザインにも工夫が凝らされていて
商品ごとの「らしさ」をしっかりと形にしている点が、とても魅力的だと感じました。

日本に近いアジアの国で街並みも似ているようで少し雰囲気が違い、パッケージも似ているようで日本とはまた違う工夫が凝らされていました。学生また社会人になり間もないうちに、このような経験をし学んだことは、本当に今後の励み、そして刺激になりました。JPDA学生賞に携わってくださった皆さま、本当にありがとうございました。

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