アカデミーボックス

JPDA学生賞2024

ワークショップ -15〈沖縄公立名桜大学〉

2024.12.12 JPDA学生コンペ委員

12月12日に沖縄公立名桜大学の国際観光産業学科で学ぶ 2,3 年生の学生たちに JPDA 学生賞の紹介及びパッケージデザインのワークショップを行いました。

2025年度の応募につなげるべく、学生賞ワークショップを秋学期に開催することは初になります。春学期に集中してきましたが、秋学期からワークショップをすることによって、より多くの応募、よりアイデア溢れる応募を期待しての開催です。美術系大学や専門学校ではなく、一般の学校へ学生賞を拡げていくことも、「パッケージデザインの価値」を広めていくJPDAにとって大切なミッションです。

国際観光産業学科を卒業する生徒たちは、主に「観光」に関わる企業や団体に就職していきます。観光立県である沖縄県では、2025年夏に開業予定のテーマパーク「ジャングリア」作りが進んでいたりと観光の更なる増強もあり国内外から多くの注目を集めています。観光と言えば、「お土産」や「ご当地」などの商品です。それらを将来作る企業へ行く可能性が高い学生たちに、パッケージデザインの楽しさや価値を知ってもらうことは大袈裟に言えば、JAPANブランドの底上げの一助になるでしょう。

今回は、1限目にセミナーをして、2限目にワークショップを行いました。

1限目は約80名の学生対象に、JPDA小川、山口、森の3名から、「パッケージデザイン」をリレー形式のセミナーで話しました。

JPDA小川から「デザイン」するためには、「デザイン」以外の仕事が大切で、クライアントの事前のヒアリングに注力し、クライアントであるメーカーの外から見る視点で感じることや、パッケージデザインの専門家として意見を出すことを大切にしている、と話されました。「依頼されたパッケージを作るだけじゃないんだ」と学生たちがデザインに対する概念が変わっていきます。

次にJPDA山口からデザイナーは「デザイン」を誰のために何をしているのか、という視点で話しました。「誰のため」はクライアントのため、「何を」はデザインを、というところですが、そうではないと話して、例えとして、子供向けのおもちゃ(特にクリスマスのサンタさんからのギフト)をデザインする時は、クリスマスの朝に子供が欲しかったおもちゃが枕元にあるかどうか、親御さんの日頃の推察力次第ではありますが、子供がサンタさんに欲しいおもちゃを手紙に書く、それを見た親御さんがおもちゃを買いに行くのですが、親御さんが間違えずに買えるかどうか、は、パッケージデザインやネーミングをわかりやすく表現しているかどうかが大切だと説いて、故に、デザイナーは、時に、子供たちのために、サンタさんへ手紙に書いてもわかるように、わかりやすいパッケージをデザインすることが仕事だと話しました。

JPDA小川、山口両名の話からパッケージデザインは何をする仕事なのか、その価値は何なのかを話すうちに、学生たちの目が輝いてきます。

最後にJPDA森から。パッケージデザインには「ブランディング」も重要な仕事であることを話しました。ブランディングは、商品の価値を見出し可視化して、商品の発売後も商品の立ち位置を作り続けることであり、商品をターゲットに「記憶」してもらい「好きになってもらう」ための仕事。その中でも、商品も情報も溢れかえる現代において、パッケージデザインは商品が「記憶」されるために最重要な仕事であることを話しました。パソコンに、インターネットに、スマホに、SNSと、大量の情報を浴びている毎日の中で、新商品が次々と出てくる商品棚から、欲しいものを選ぶことは大変な時代です。

1限目終了後に、私たち3名に対して「芸大以外でもインターン可能ですか」や「ブランディングを学びたい」など、学生からの質問が休憩時間を過ぎても続いたりと、パッケージデザインへの関心の高さを感じます。

続いての2限目は、ゼミ生の2年生(名桜大学は2年生秋学期からゼミが始まる)が集まって、パッケージデザインのワークショップをしました。2025年度の募集テーマ「fun」をどのようなアイデアにしてパッケージデザインで魅せるか、学生たちは悩みながらも真摯に取り組みました。

まず初めに、アイデアを出すための参考として、様々なアイデアあふれるパッケージの事例を紹介して、アイデアとパッケージのつながりを意識してもらいます。その後に、例年通り、アイデアを出すためマンダラートに書き込むのですが、文系学生たちは初のトライになるため、3名1組のチームをなって取り組んでもらいました。

文系大学の関西学院大学でもワークショップを数年に渡って取り組んでいますが、想像の斜め上をいくアイデアの想像力やイラスト力を今回も実感しました。これは、小さな頃から多くのメディア、漫画にアニメなどに触れてきているからなのか、みなさん柔軟な思考と表現力があります。

デザインを専攻してない文系の大学生ゆえに、イラスト書けるかな、アイデアが浮かばないのでは、など不安や心配の声がありましたが、どんどん書いていく人に引っ張られて、皆さん夢中になっていきます。チームの誰かがアイデアが出てこないとチームの仲間がどんどん質問して、引き出していく姿に引き込まれて、私たち3名もチームに張り付いて質問したり、アドバイスしたり、あっという間にプレゼンテーションの時間になりました。

名桜大学は、沖縄本島の北の方にある名護市という町にあるのですが、観光学科が全国的にも少ないこともあり、学生は沖縄以外の出身者が多く、様々な方言やイントネーションを感じて、先生含めた全員がプレゼンテーションを真摯に、そして、楽しく行いました。

プレゼンテーションの中に、秀逸なアイデアがいくつもあって、短い時間の中で、複数のアイデアを考えた学生さんもいて、あっという間に時間が経っていました。

2025年の応募に向けて、ゼミ全体で盛り上げていくことを先生含めて確認して、初めての秋学期のセミナー・ワークショップは終了しました。

その後、1月にゼミ生たちのアイデアの経過共有をオンラインで実施したのですが、12月に参加したゼミ生以外に海外留学中の学生たちも加入して、オンラインながらも大いに盛り上がりを感じる貴重な時間でした。

名桜大学から素晴らしい作品の応募がくることを思い、2025年度の学生賞がさらに楽しみになっています。名桜大学、そして小山先生、学生のみなさん、ありがとうございました。

(JPDA学生コンペ委員会  小川・山口・森)

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